金曜日, 10月 18, 2019
木曜日, 10月 17, 2019
水曜日, 10月 16, 2019
火曜日, 10月 15, 2019
2019.10.15 Live Sound Tunning Jikoryuu
2019.10.15 Live Sound Tunning Jikoryuu
旧タイトル=<番外編>チューニング自己流
チューニング関連の資料を整理しているので、年度末のところに置いておきます。
2019.11 記
・SRのTuningの基本。
1:卓側のTB/Checkマイク(以降TBマイク)で、きちんと声をだしHA(以降頭)をきちっととる。
ヘッドフォンでもPFLで確認する。
2:ハウスの音量を決める。
Ch-FDR→Mast-FDR→Geq →Ampで規程で音量を確保できるように、AmpのATTで調整する。
まず、Geq がフラット(平坦でなにも調整してない状態) で最初にハウスから出る音の音質の『感じ』を覚えておく。
今日だったら、『もわもわ』だったと思うが、どんな『もわもわ』だったか?
『もーん』『ぶーん』『ふわーん』もちろん、高いところから、feedback が、
『ほわーん』『ふーん』くることもある。
SRでは、マイクとスピーカーが同じ場所にある。
SRで起こりうる大前提を、良く考えよう。
『音量を上げれば、反射<部屋鳴り『音量を下げれば、feedback>部屋鳴り>反射 は減る』
このとき、大きく音が出てしまうからと、頭を絞りぎみすぎると、後々モニターの音量が、確保できなくなるが、ずっとハウリッぱなしでは、3ができないので、feedback(=ハウリング)する、-3dB位の設定にしておく。
3:一つづつ周波数をGeq で当たる
いよいよ、一つづつ周波数をGeq で当たっていくのだが、feedback するギリギリのあたりまで、(feedback
臭い)レベルを上げる。フェーダーは規定以上に上げても良い。
『1つの周波数づつ、GEQのスライダーを上げて(Boost)チェックする』
6dB~9dB位上げる(あおる)
『ヘイヘイ、ハーッハーッ』等と声を出しながらやるのだが、比較的継続的な音を出した方が判りやすいが、スピーカーに負担がかかり過ぎないように注意する。
この時、あくまでも、最初にチェックするTBマイクは、客席最後方のミキサー位置又は、今日の場合は袖にあるということを忘れないこと。
ミキサーや袖の位置というのは、本番でマイクを使う位置では無い。
まずスピーカーまでが健康か、という事を確認する。
今は、本番でマイクを使う位置ではないが、仮にTBのマイクをハウスのスピーカーからだして、まずは、スピーカーとその会場の音場の特性をつかんでいるのだという認識なのだ。
4:必ずハウスのチューニングは、LOの低い部屋鳴りからチェックする。
今日の場合は、100hzからスタートしたが、この時もわもわするからと、全部切っていってしまうと、音がなくなってしまう(音量がさがれば、feedback
や部屋鳴りがなくなるのは当然でしょ?)。
私の場合は、(室内の会場なら)100hz~315hz位の間で、一番低い部屋鳴りの周波数をみつけるが、大体今日のように、中心で切るところが、6dBくらいなら、その上下の周波数も確認する。125hz-6dB、160hz-3dBだったか?)
そしてハウスのちTuningは必ず下から行う。
例えば125→250→500→1k と、倍数をチェックするのだが、このとき、125、100、160、200等と、近い周波数で低い方から探ってく。
EQというのは、その特定の周波数を上げるのだから、どれを上げても、『もわーん』は大きくなるが、どこか必ず、必要以上に、部屋鳴り(共振)しすぎてしまう周波数がある、そこを切って行くのだ。
5:他の周波数の怪しいところ(feedbackしやすいところ)を少しづつ探って行く。
だいたい、4パターンくらいの音質の要素をチェックしている。
A:LOの低い方から、1k位までが部屋鳴り『もわーん』。
B:500位から、4k位までは、正面等の壁の反射。
C:1kからHIの高い方までは、『キーン』とくるヤバいfeedbackです。
D:子音は、特に気になる所で、『サシ、シッ、シィッシィッ』と声を出して見るが、(6.3k、5k、 8k)等はあまり切り過ぎないように探るだけにする。
主に、この4つを調整するのだが、Bの反射だけは、スピーカーの角度も含めて、調整しなければならない。
また、クラブ的な超低域100hz以下等は、CD等の音楽を使ってチューニングする方法もある。
6:卓側のTBマイク→Stage上のVOマイク
PA屋がドツボに落ち入る、『ずっとチェックワンツー、へいへい』を永遠に繰り返さないために、LOの部屋鳴りと、HIのキーンfeedbackがとれたら、TBマイクのHAの設定を、SOLOマイク(VOの一番メインのマイク)に、コピーして、ステージのマイクで声を出してみる。
場合によっては、ケーブルを延ばして、客席でも音を聞いてみる。
VOマイクChのHPFを入れてみて、実際のマイクの想定のEQ(6.3K↓、1.6K↓)なども、卓のEQで入れてみて、ハウスのチューニングを終える。
7:ハウスのTuningの注意点。
a:スピーカーからは声だけを拡声する訳ではない、いろんな楽器の音もでるのだ。
実際のミックスでは私はこうやる。
声を拡声する各Ch(VOやCHO)だけを、GEQだけに頼らず、MixerのChのEQと組み合わせて調整する。そうすれば、他の楽器では必要な周波数をGEQでカットし過ぎないで済む。
とにかく、GEQにはいろいろな楽器の音(低い周波数~高い周波数)が、最終的に通るのだという事も覚えておく。
HA→EQ→Ch・FDR→Mast・FDR→GEQ→Amp→SP
b:ハウスは簡単にHPFで切らない事。
Mixerできちんと処理ができていれば、GEQでHPF入れない時もよくある。
8:モニターのTuningに映る。
Stage上のVOマイクで必ずモニターのチューニングは行う。
アシスタントにGEQの操作をお願いするが、この時ヤバい時はすぐさげれるよう、どこで下げるか教えておく。
FDRで下げてもいいが、Preだと『キーン』ときても絞れないので、まずは、PostでCh FDRを下げればすぐに危険を回避できるように、Ch
FDR規定で、PostでAUXに規定で送る。
そう、何度も言うが、コンソールの送りは必ず規定にしておく。
AUXで規定にモニターに一系統だけ送る。そして、ハウスはマスターフェーダーで下げておく。
やり方は、『◯◯下さい』は、『◯◯の周波数を上げて下さい』というやり取りをして、周波数をさぐる。
アシスタントは聞き取りにくければ、PFLでVOのマイクの音だけを聞きながら操作する。
9:モニターの音量を決める。
この時は非常に注意する。ハウリングするギリギリの所にアンプのATTを設定するが、きちんとStageで客席を向いて、モニタースピーカーの位置に立って行う。
10:一つづつ周波数をGeq で当たる
ただし、モニターはLOからやらない事も多い。
E:口を大きく開けて、口の中での共振をチェックする。
F:マイクを、GLAY持ち(ネギ坊主を被せるような持ち方)にして見てチェックする。
G:周波数がカットされてくれば、マイクを思い切ってモニタースピーカーに向けてみる。
モニターは、GEQのHPFに頼る場合もあるし、状況によって違う。
今日の場合は、モニタースピーカーが結構くたびれているので、LOが無かったので、LOは探らずに、E:口を開けて、F:GLAY持ちをやって探っておしまいにしました。
11:ハウスからも音を出してみて、どれたけハウスに音が引っ張られるかを確認する。
12:他のモニターの系統にGEQの設定をコピーする。
13:各モニタースピーカーに、1つづつ音を送ってみて確認する。
と、ここまで書いてみましたが、とにかく人より少しでも経験したほうがいいのがこのチューニング=(ハウリングマージンをとる)です。
自分でチューニングしなくても、チューニングし切れていない=GEQ
で切り切れていない部分を、Mixerの各ChのEQで切るという方法もあるので、怖がらないでやってみる事だと思います。
『ハウったらとにかく下げる』
旧タイトル=<番外編>チューニング自己流
チューニング関連の資料を整理しているので、年度末のところに置いておきます。
2019.11 記
・SRのTuningの基本。
1:卓側のTB/Checkマイク(以降TBマイク)で、きちんと声をだしHA(以降頭)をきちっととる。
ヘッドフォンでもPFLで確認する。
2:ハウスの音量を決める。
Ch-FDR→Mast-FDR→Geq →Ampで規程で音量を確保できるように、AmpのATTで調整する。
まず、Geq がフラット(平坦でなにも調整してない状態) で最初にハウスから出る音の音質の『感じ』を覚えておく。
今日だったら、『もわもわ』だったと思うが、どんな『もわもわ』だったか?
『もーん』『ぶーん』『ふわーん』もちろん、高いところから、feedback が、
『ほわーん』『ふーん』くることもある。
SRでは、マイクとスピーカーが同じ場所にある。
SRで起こりうる大前提を、良く考えよう。
『音量を上げれば、反射<部屋鳴り
このとき、大きく音が出てしまうからと、頭を絞りぎみすぎると、後々モニターの音量が、確保できなくなるが、ずっとハウリッぱなしでは、3ができないので、feedback(=ハウリング)する、-3dB位の設定にしておく。
3:一つづつ周波数をGeq で当たる
いよいよ、一つづつ周波数をGeq で当たっていくのだが、feedback するギリギリのあたりまで、(feedback
臭い)レベルを上げる。フェーダーは規定以上に上げても良い。
『1つの周波数づつ、GEQのスライダーを上げて(Boost)チェックする』
6dB~9dB位上げる(あおる)
『ヘイヘイ、ハーッハーッ』等と声を出しながらやるのだが、比較的継続的な音を出した方が判りやすいが、スピーカーに負担がかかり過ぎないように注意する。
この時、あくまでも、最初にチェックするTBマイクは、客席最後方のミキサー位置又は、今日の場合は袖にあるということを忘れないこと。
ミキサーや袖の位置というのは、本番でマイクを使う位置では無い。
まずスピーカーまでが健康か、という事を確認する。
今は、本番でマイクを使う位置ではないが、仮にTBのマイクをハウスのスピーカーからだして、まずは、スピーカーとその会場の音場の特性をつかんでいるのだという認識なのだ。
4:必ずハウスのチューニングは、LOの低い部屋鳴りからチェックする。
今日の場合は、100hzからスタートしたが、この時もわもわするからと、全部切っていってしまうと、音がなくなってしまう(音量がさがれば、feedback
や部屋鳴りがなくなるのは当然でしょ?)。
私の場合は、(室内の会場なら)100hz~315hz位の間で、一番低い部屋鳴りの周波数をみつけるが、大体今日のように、中心で切るところが、6dBくらいなら、その上下の周波数も確認する。125hz-6dB、160hz-3dBだったか?)
そしてハウスのちTuningは必ず下から行う。
例えば125→250→500→1k と、倍数をチェックするのだが、このとき、125、100、160、200等と、近い周波数で低い方から探ってく。
EQというのは、その特定の周波数を上げるのだから、どれを上げても、『もわーん』は大きくなるが、どこか必ず、必要以上に、部屋鳴り(共振)しすぎてしまう周波数がある、そこを切って行くのだ。
5:他の周波数の怪しいところ(feedbackしやすいところ)を少しづつ探って行く。
だいたい、4パターンくらいの音質の要素をチェックしている。
A:LOの低い方から、1k位までが部屋鳴り『もわーん』。
B:500位から、4k位までは、正面等の壁の反射。
C:1kからHIの高い方までは、『キーン』とくるヤバいfeedbackです。
D:子音は、特に気になる所で、『サシ、シッ、シィッシィッ』と声を出して見るが、(6.3k、5k、 8k)等はあまり切り過ぎないように探るだけにする。
主に、この4つを調整するのだが、Bの反射だけは、スピーカーの角度も含めて、調整しなければならない。
また、クラブ的な超低域100hz以下等は、CD等の音楽を使ってチューニングする方法もある。
6:卓側のTBマイク→Stage上のVOマイク
PA屋がドツボに落ち入る、『ずっとチェックワンツー、へいへい』を永遠に繰り返さないために、LOの部屋鳴りと、HIのキーンfeedbackがとれたら、TBマイクのHAの設定を、SOLOマイク(VOの一番メインのマイク)に、コピーして、ステージのマイクで声を出してみる。
場合によっては、ケーブルを延ばして、客席でも音を聞いてみる。
VOマイクChのHPFを入れてみて、実際のマイクの想定のEQ(6.3K↓、1.6K↓)なども、卓のEQで入れてみて、ハウスのチューニングを終える。
7:ハウスのTuningの注意点。
a:スピーカーからは声だけを拡声する訳ではない、いろんな楽器の音もでるのだ。
実際のミックスでは私はこうやる。
声を拡声する各Ch(VOやCHO)だけを、GEQだけに頼らず、MixerのChのEQと組み合わせて調整する。そうすれば、他の楽器では必要な周波数をGEQでカットし過ぎないで済む。
とにかく、GEQにはいろいろな楽器の音(低い周波数~高い周波数)が、最終的に通るのだという事も覚えておく。
HA→EQ→Ch・FDR→Mast・FDR→GEQ→Amp→SP
b:ハウスは簡単にHPFで切らない事。
Mixerできちんと処理ができていれば、GEQでHPF入れない時もよくある。
8:モニターのTuningに映る。
Stage上のVOマイクで必ずモニターのチューニングは行う。
アシスタントにGEQの操作をお願いするが、この時ヤバい時はすぐさげれるよう、どこで下げるか教えておく。
FDRで下げてもいいが、Preだと『キーン』ときても絞れないので、まずは、PostでCh FDRを下げればすぐに危険を回避できるように、Ch
FDR規定で、PostでAUXに規定で送る。
そう、何度も言うが、コンソールの送りは必ず規定にしておく。
AUXで規定にモニターに一系統だけ送る。そして、ハウスはマスターフェーダーで下げておく。
やり方は、『◯◯下さい』は、『◯◯の周波数を上げて下さい』というやり取りをして、周波数をさぐる。
アシスタントは聞き取りにくければ、PFLでVOのマイクの音だけを聞きながら操作する。
9:モニターの音量を決める。
この時は非常に注意する。ハウリングするギリギリの所にアンプのATTを設定するが、きちんとStageで客席を向いて、モニタースピーカーの位置に立って行う。
10:一つづつ周波数をGeq で当たる
ただし、モニターはLOからやらない事も多い。
E:口を大きく開けて、口の中での共振をチェックする。
F:マイクを、GLAY持ち(ネギ坊主を被せるような持ち方)にして見てチェックする。
G:周波数がカットされてくれば、マイクを思い切ってモニタースピーカーに向けてみる。
モニターは、GEQのHPFに頼る場合もあるし、状況によって違う。
今日の場合は、モニタースピーカーが結構くたびれているので、LOが無かったので、LOは探らずに、E:口を開けて、F:GLAY持ちをやって探っておしまいにしました。
11:ハウスからも音を出してみて、どれたけハウスに音が引っ張られるかを確認する。
12:他のモニターの系統にGEQの設定をコピーする。
13:各モニタースピーカーに、1つづつ音を送ってみて確認する。
と、ここまで書いてみましたが、とにかく人より少しでも経験したほうがいいのがこのチューニング=(ハウリングマージンをとる)です。
自分でチューニングしなくても、チューニングし切れていない=GEQ
で切り切れていない部分を、Mixerの各ChのEQで切るという方法もあるので、怖がらないでやってみる事だと思います。
『ハウったらとにかく下げる』
金曜日, 10月 11, 2019
土曜日, 10月 05, 2019
金曜日, 10月 04, 2019
水曜日, 10月 02, 2019
2019.10.02 Critical Listening Basic
2019.10.02 Critical Listening Basic
2015以来の更新でした。
内容は一部こちらから参考にさせていただきました。
2015以来の更新でした。
火曜日, 10月 01, 2019
日曜日, 9月 15, 2019
月曜日, 9月 02, 2019
日曜日, 9月 01, 2019
土曜日, 8月 24, 2019
木曜日, 8月 22, 2019
火曜日, 8月 20, 2019
月曜日, 8月 19, 2019
日曜日, 8月 18, 2019
土曜日, 8月 17, 2019
木曜日, 8月 15, 2019
火曜日, 8月 13, 2019
月曜日, 8月 12, 2019
土曜日, 3月 30, 2019
2019.03.30『生きろ!ミュージシャン』『優れるには』by木島タロー
2019.03.30『生きろ!ミュージシャン』『優れるには』by木島タロー
友人のミュージシャン木島タロー君の日記に、とてもとても共感する部分がありましたので、ご本人了解のもと、引用させていただきました。
『生きろ!ミュージシャン』2009.1.29昨年末、とあるコンサートのリハーサル帰り。そのコンサートで一緒に演奏するベーシストと駅ではちあわせた。
彼はベースを抱えてホームのベンチに座っていた。彼に会うのは3度目で、あまり多くの会話をした事はなかった。
僕と同い年だと後で分かったが、ミュージシャンと言うのはたいがい年よりやや若く見える。彼も20代後半に見えるが、この日は無精髭をはやし、肩は落ち、ソフトケース入りのベースを抱える彼の姿は疲れて見えた。
あ、お疲れ様です、と僕。お疲れ様です、と彼。
他にどんな演奏しているんですか、から、どんな生活をしているかの話になる。
何のお仕事しているんですかと聞かれ、一応これ(音楽)が仕事です、と僕は答える。
そうですか、いいですね。僕はニートです。バイトもしていません。先日までしていたベースの講師の仕事もなくなりました。
と、ベンチの僕の隣に座る彼は、視線を前に向けたまま言う。
話 は飛ぶが、学生の時、僕は宗教学の教授が好きだった。定年間際の男性で、すらっと背は高く、白髪でなんとなく筑紫哲也を思い起こさせる髪型で、大きな眼鏡 をかけ、耳に生来の障害があるため補聴器を付けていた。カトリックの神父だそうだが宗教を差別せず、知性とユーモアと、にじみ出る自然な威厳があった。
ある日、この教授が僕の夢に出て来た。僕と教授が一緒に街を歩いていると、ギターを抱えた汚い姿をした青年が道にうずくまっている。教授は財布からお札を取り出すと、彼に差し出した。まわりには他にもホームレス達がいて、この教授の行動を見て、寄って来て言うのだ。
「どうしてそいつにだけ金をやるんだ。そいつも俺たちも変わらないじゃないか!」
すると教授は答える。
「いや、彼は君たちとは違う。まだギターを売っていない。」
電車に乗って、僕の隣に座ったベーシストは、「年が越せるかどうか。」とつぶやくように言う。年が越せるか、とは古風な言い方だが、哀愁を誘う。
し かし、僕は彼を見て、なんと誇らしいミュージシャンだろう、と思うのだ。何故彼はこの年にしてニートなのか。それは、高卒か大卒の時に就職していく友人達 を尻目に、ベースを弾き続けたからだ。自分の情熱と未来を信じて、他の道を選ぶ事をしなかったからこそ、今日彼は仕事がないと悩むのだ。
これこそが誇るべきミュージシャンの姿だ、と僕は思う。
10年自分の才能の有無を計り続けた悩める僕の後輩がSuper Flyのツアーバンドに登用されたように。6年トラブルだけに生きているように見えた僕の一番弟子が西条秀樹のバックコーラスを勤めるまでになったように。
途中で辞めない者だけがたどり着ける場所がある。それは、必ずある。それに、ミュージシャンはどん底まで落ちると、必ずちょっとゲインするのだ。
生きろ!ミュージシャン。
穴の空いたコートを着て、くたびれたスニーカーを履いて、10億稼いだという同い年のIT社長を横目に。
その道を選ばなかった誰よりも、誇り高く。
『優れるには』2009.2.11
優れたアーティスト、例えばミュージシャンになるには、段階がある。
技術の話ではなく、技術の学びが始まるよりずっと前の話だ。
ある優れたミュージシャンは、優れたミュージシャンになる事を夢見て、追いかけて、スキルを身につける。
夢見て追いかけたからこそ、そのスキルを身につけたのだと言える。
しかし、スキルを充分に上達させる程に夢を追いかけるには、その過程を毎日楽しむ事が出来る程の情熱がなくてはならない。
(-多くの人は自分の夢に自信が持てず、情熱的な憧れまで持てない。)
しかし、情熱をもてる程の夢を、まず見つけなければならない。
(-多くの人は、自分が何をやりたいかを見つけられない)
そして、その夢を見つけるには、まず、夢を見つける事に価値があると言う事を知っていなければならない。
(-多くの人は、夢を持つよりも、いい成績をとっていい給料の仕事を見つけ日々の糧を得る事を考える事の方が優先的な価値があると考える。)
ある人は、充分なスキルを身につけた優れた人間とだけ付き合いたいと思う。もしくは、優れた人間と付き合う事の方が自分の人生にとって価値があると考える。そして時に彼らは、私と付き合いたければあなたもスキルを磨いて登って来なさい、と、言う。
でも、夢に自信を持てない人間には、誰かが、それを信じていいのだと言ってやらねばならない。
夢を見つけられない人間には、迷ってもいいのだと言ってやらねばならない。
夢を持つ事の価値を知らない人間には、その事に価値がある事を誰かが知らせてやらねばならない。
夢を追いかけてスキルを身につけた人間を僕は素敵だと思う。
下手でも俺には夢がある、という人間に、僕は勇気づけられる。
私は何をしたいのか分からない、という人間と、僕は会話をしていたいと思う。
夢では生きていけないのではないか、と悩む人間に、僕は笑いかけたいと思う。
それらの全ての人間と、僕はともに生きたいと思う。彼らの全てに、次の一歩を踏み出す権利があるからだ。
そしてまた、その事で僕はある日、充分なスキルを身につけた人間とだけ付き合いたいと考えた人よりも、ずっと多くの、スキルを身につけた人々に囲まれる時が来るだろうとも思うのだ。
決まった誰かだけが通れる扉よりも、全ての人が通る事が出来る扉こそが世界の真理の終点だと僕には思える。
だからだろうか。僕は、自分が人生を費やすクワイアーミュージックという音楽に、この事の答えが眠っているように感じるのだ。
シンガーとリスナーの両方が、まだ不定形の未来に夢を見る事が出来る、そんな音楽に憧れながら、僕は曲を書く。
友人のミュージシャン木島タロー君の日記に、とてもとても共感する部分がありましたので、ご本人了解のもと、引用させていただきました。
『生きろ!ミュージシャン』2009.1.29昨年末、とあるコンサートのリハーサル帰り。そのコンサートで一緒に演奏するベーシストと駅ではちあわせた。
彼はベースを抱えてホームのベンチに座っていた。彼に会うのは3度目で、あまり多くの会話をした事はなかった。
僕と同い年だと後で分かったが、ミュージシャンと言うのはたいがい年よりやや若く見える。彼も20代後半に見えるが、この日は無精髭をはやし、肩は落ち、ソフトケース入りのベースを抱える彼の姿は疲れて見えた。
あ、お疲れ様です、と僕。お疲れ様です、と彼。
他にどんな演奏しているんですか、から、どんな生活をしているかの話になる。
何のお仕事しているんですかと聞かれ、一応これ(音楽)が仕事です、と僕は答える。
そうですか、いいですね。僕はニートです。バイトもしていません。先日までしていたベースの講師の仕事もなくなりました。
と、ベンチの僕の隣に座る彼は、視線を前に向けたまま言う。
話 は飛ぶが、学生の時、僕は宗教学の教授が好きだった。定年間際の男性で、すらっと背は高く、白髪でなんとなく筑紫哲也を思い起こさせる髪型で、大きな眼鏡 をかけ、耳に生来の障害があるため補聴器を付けていた。カトリックの神父だそうだが宗教を差別せず、知性とユーモアと、にじみ出る自然な威厳があった。
ある日、この教授が僕の夢に出て来た。僕と教授が一緒に街を歩いていると、ギターを抱えた汚い姿をした青年が道にうずくまっている。教授は財布からお札を取り出すと、彼に差し出した。まわりには他にもホームレス達がいて、この教授の行動を見て、寄って来て言うのだ。
「どうしてそいつにだけ金をやるんだ。そいつも俺たちも変わらないじゃないか!」
すると教授は答える。
「いや、彼は君たちとは違う。まだギターを売っていない。」
電車に乗って、僕の隣に座ったベーシストは、「年が越せるかどうか。」とつぶやくように言う。年が越せるか、とは古風な言い方だが、哀愁を誘う。
し かし、僕は彼を見て、なんと誇らしいミュージシャンだろう、と思うのだ。何故彼はこの年にしてニートなのか。それは、高卒か大卒の時に就職していく友人達 を尻目に、ベースを弾き続けたからだ。自分の情熱と未来を信じて、他の道を選ぶ事をしなかったからこそ、今日彼は仕事がないと悩むのだ。
これこそが誇るべきミュージシャンの姿だ、と僕は思う。
10年自分の才能の有無を計り続けた悩める僕の後輩がSuper Flyのツアーバンドに登用されたように。6年トラブルだけに生きているように見えた僕の一番弟子が西条秀樹のバックコーラスを勤めるまでになったように。
途中で辞めない者だけがたどり着ける場所がある。それは、必ずある。それに、ミュージシャンはどん底まで落ちると、必ずちょっとゲインするのだ。
生きろ!ミュージシャン。
穴の空いたコートを着て、くたびれたスニーカーを履いて、10億稼いだという同い年のIT社長を横目に。
その道を選ばなかった誰よりも、誇り高く。
『優れるには』2009.2.11
優れたアーティスト、例えばミュージシャンになるには、段階がある。
技術の話ではなく、技術の学びが始まるよりずっと前の話だ。
ある優れたミュージシャンは、優れたミュージシャンになる事を夢見て、追いかけて、スキルを身につける。
夢見て追いかけたからこそ、そのスキルを身につけたのだと言える。
しかし、スキルを充分に上達させる程に夢を追いかけるには、その過程を毎日楽しむ事が出来る程の情熱がなくてはならない。
(-多くの人は自分の夢に自信が持てず、情熱的な憧れまで持てない。)
しかし、情熱をもてる程の夢を、まず見つけなければならない。
(-多くの人は、自分が何をやりたいかを見つけられない)
そして、その夢を見つけるには、まず、夢を見つける事に価値があると言う事を知っていなければならない。
(-多くの人は、夢を持つよりも、いい成績をとっていい給料の仕事を見つけ日々の糧を得る事を考える事の方が優先的な価値があると考える。)
ある人は、充分なスキルを身につけた優れた人間とだけ付き合いたいと思う。もしくは、優れた人間と付き合う事の方が自分の人生にとって価値があると考える。そして時に彼らは、私と付き合いたければあなたもスキルを磨いて登って来なさい、と、言う。
でも、夢に自信を持てない人間には、誰かが、それを信じていいのだと言ってやらねばならない。
夢を見つけられない人間には、迷ってもいいのだと言ってやらねばならない。
夢を持つ事の価値を知らない人間には、その事に価値がある事を誰かが知らせてやらねばならない。
夢を追いかけてスキルを身につけた人間を僕は素敵だと思う。
下手でも俺には夢がある、という人間に、僕は勇気づけられる。
私は何をしたいのか分からない、という人間と、僕は会話をしていたいと思う。
夢では生きていけないのではないか、と悩む人間に、僕は笑いかけたいと思う。
それらの全ての人間と、僕はともに生きたいと思う。彼らの全てに、次の一歩を踏み出す権利があるからだ。
そしてまた、その事で僕はある日、充分なスキルを身につけた人間とだけ付き合いたいと考えた人よりも、ずっと多くの、スキルを身につけた人々に囲まれる時が来るだろうとも思うのだ。
決まった誰かだけが通れる扉よりも、全ての人が通る事が出来る扉こそが世界の真理の終点だと僕には思える。
だからだろうか。僕は、自分が人生を費やすクワイアーミュージックという音楽に、この事の答えが眠っているように感じるのだ。
シンガーとリスナーの両方が、まだ不定形の未来に夢を見る事が出来る、そんな音楽に憧れながら、僕は曲を書く。
登録:
投稿 (Atom)